3人のアレクサンドルイワノフについて
イワノフ(橋本良亮)
私が見たイワノフは起伏が激しくて基本オーケストラの話しかしていない。だれもがみんな少しは音楽家だと信じていてまず必ずなんの楽器をやっているか聞く。
基本的には純粋で医師に言われるがままオーケストラはいないと言うし、与えられれば謎の薬もボリボリ食べちゃう。
自分のオーケストラの演奏に不満があり、言うことの聞かないオーケストラに手を焼いている。怒ると言葉遣いも荒くなる。
あと例え話がちょっとわかりにくい。ハイフフェッツの水球並みの腕前って何?
アレクサンドルに聞こえる?と詰め寄って怖がらせた後やサーシャを怖がらせた後に我にかえる姿から根は優しくて人の顔色を伺う一面もあるように見える。
大佐に退院していいと言われて唯一喜んでいるけど、それは今後誰にも否定されず規制されず自由にオーケストラと音を奏でることができるからかなぁと感じた。
大佐が去ってから指揮をするイワノフは本当に威厳に満ち溢れ堂々としていて、言うことの聞かないオーケストラはもうそこにはいないように見えた。
最後に指揮台を降りてオーケストラの中に入っていったのはアレクサンドルにオーケストラを譲り新しいオーケストラを探しに行ったのかな…。
アレクサンドル(堤真一)
アレクサンドルは強い意志を持っている。愛する息子の言葉にも揺るがないくらい。
正気の人間が意見を病気だと言われ精神病院に入れられている状況が異常だと観ていたが、命を捨ててでも国に間違いを認めさせたいという強すぎる意志はだんだん見ていて怖くなってきた。途中からイワノフの音楽が聞こえているように見えた。
後半のサーシャとの会話ではもう正常な判断ができないくらいになっていたと感じた。
大佐によって「アレクサンドルイワノフは自分が異常であったことを認めた」という事実が作り上げられてしまい、本意ではない釈放をされ、完全に精神破綻しオーケストラが見えるようになってしまったように見えた。
あんなに同室のイワノフを異常扱いしていたのに自分もそちら側になってしまったのかな。
指揮台に立つアレクサンドルは綺麗なEGBDFとは対照的に今後も幸せが待っているようには思えなかった。
サーシャ(シムウンギョン)
3人目のアレクサンドルイワノフ。
パパの無実を信じてパパに帰ってきてほしいと願うサーシャはとても健気で可哀想。パパのアレクサンドルは愛しのサーシャの言葉にも耳を傾けず死を選ぼうとする。
サーシャにとってのご褒美はパパが帰ってくることなのに最後までパパ良い子になってと祈るしかないサーシャ。
アレクサンドルが事実上は釈放されて戻ってきたとしても、精神破綻してしまったのならば以前のパパではないしサーシャが帰ってきてほしかったパパじゃないのかもしれない。
良い子にしていてもご褒美はもらえないのかな。